テンプルステイは、伝統寺院に滞在しながら自然を感じ、寺院の文化と日常を体験するプログラムである。僧侶の生活と仏教文化を経験するためのものだが、最近は宗教を越えて心と体を修養する「ヒーリング」文化として定着しつつある。都心から離れずとも参加できることがテンプルステイのメリットの1つとして挙げられる。ソウルに位置する寺院のうちテンプルステイを運営している場所は9か所ほどだ。混雑した都市の中でも静かな寺院の風情と自然を満喫でき、都心にいるのが信じられないほど自然が保たれている場所も多い。外国人のためのテンプルステイプログラムも実施されているため、観光客も多く訪れる場所だ。ぜひ、1泊以上滞在してその真価をしっかり味わいたくなるような、奥深いテンプルステイを紹介する。
ウンピョン(恩平)区ハノクマウル(韓屋村)の近隣に所在するチングァンサ(津寛寺)は、ソウルの四大寺院の1つである。プカンサン(北漢山)が寺院を囲み、2つの渓谷が相接する場所に位置しており、風水地理的に優れた立地といえる。テンプルステイが実施される含月堂は、キョンボックン(景福宮)以上に伝統建築様式がはっきり表れた建築物だ。そのため、チングァンサ(津寛寺)は海外の大使が時間を割いて訪れたり、外国人がよくテンプルステイに参加しに来る場所でもある。また、チングァンサ(津寛寺)は精進料理の歴史と伝統を受け継ぐ場所としても注目されている。米国ホワイトハウスの料理人が住職から精進料理を学んだり、外国の大使夫人たちを招待して伝統精進料理を披露したこともある。寺院の中には精進料理研究所まで設けられている。チングァンサ(津寛寺)の精進料理は野菜メニューで構成され、化学調味料を一切使わず最小限の味付けのみ施されるため、自然に最も近い味を味わうことができる。夕食の後は、寺院の周辺を散歩して打鐘体験をし、夜9時に寺院での1日は締めくくられる。2日目の早朝には礼仏と108拝が行われるため、早めに就寝するのが望ましい。
クムソンサ(金仙寺)は、森の精気を感じることができるプカンサン(北漢山)の裾に位置し、テンプルステイの間中ソウル市内の景観を一度に見渡せることから、ヒーリング旅行地として注目されている場所である。テンプルステイ参加者は、日常から離れて自らの内面と向き合い、省察する時間を持つ。清涼な森と清浄な空気、木々から湧き出る精気など、クムソンサ(金仙寺)周辺の自然環境は都市での生活に疲れた心と体を癒す瞑想をするのに最適の場所である。参加者は寺院で1泊し、2日目の午前8時に僧侶とともにプカンサン(北漢山)に軽く登る。
寺院に帰ってからは茶啖の時間を持つ。茶啖とは、僧侶と一緒にお茶を飲む時間で、テンプルステイで最も意味深い人気プログラムである。仏教文化に対する質問だけでなく、特別なテーマを定めず人生における悩みや葛藤について気楽に話せるため好評を得ている。